筆者は、全国大規模古墳、各国風土記、記紀の地名由来譚を縄文語（アイヌ語）解釈してきました。この作業は、上代日本語と縄文語の境界線がどこにあるのかを探る目的で始めたのですが、その作業がいよいよ中国大陸にまで及ぶことになってしまいました。
　以前に「上海＝シアン・ハー・イ＝広大な・水の引いた・ところ」や「青島＝チン・タオル＝崖の・水際の高台」など、いくつかの中国の地名が縄文語で辻褄の合う解釈ができたので、もしかすると、東夷の人々の言語は縄文語だったのではないかとの疑いを持っていました。この仮説を確かなものとするために、筆者は、漢代の地方制度で設定された県名（上古音）の縄文語解釈を始めました。

　まずは、中国大陸の海岸線を解釈してみます。案の定、ほとんどの県名が地勢と辻褄の合う解釈が可能でした。それから中国南部。これも、同じ結果となりました。ということは、東夷、南蛮は、倭人と近しい民族だった可能性が高くなります。
　さらに縄文語の使用地域を確定すべく、解釈のエリアを広げていきます。
　結果、北京市周辺、洛陽周辺に至るまで、一部殷墟周辺を除き、華北平原、長江平原全域に渡って確度の高い解釈が可能で、西戎、北狄にあたる地域にも妥当な解釈をいくつか発見することができました。残念ながら、西戎、北狄はサンプル数が少ないので断定はできませんが、それでも想像以上に広範囲に渡って縄文語が使用されていた形跡があります。

　数年前、雲南地方の少数民族であるイ族が日本語の一部を理解できるとの記事が中国の百度（ポータルサイト）に掲載されたことがありますが、それも、縄文語由来の単語であれば、まったく不思議なことではありません。

　三千年以上前、黄河中流域に栄えた殷は、敵対する周辺蛮族と戦い、それを占った内容を甲骨文字に残しています。しかし、周辺蛮族に縄文語を共有する人々が多かったとしたらどう考えればいいでしょうか。甲骨文字は決して縄文語ではありません。もしかすると、殷を建国した人々は決して中国の先住民に近しい民族ではなく、はるか遠方から移住してきた異民族の集団だったのかもしれません。

　縄文語に文字を充てる作業はすでに殷の時代から行われていました。中原の圧迫を逃れた人々が言語を共有する日本に渡ってくることも、また、日本の歴史が漢字表記されることも、極めて自然な流れだったのです。

　今回は幽州上谷郡。

【凡例】
・上古音： 高本漢系統／王力系統／董同龢系統／周法高系統／李方桂系統
　※それぞれ「聲母」「半角スペース」「韻母」と配置
　※該当する説が存在しないものには「-」を表記
〈参考〉漢字古今音資料庫（https://xiaoxue.iis.sinica.edu.tw/ccr/）

・解釈評価：★★★★★
◇周囲の地勢と対比可能な確度の高い解釈。
◇多くの近隣同一解釈。
※「パン＝川下」⇔「ペン＝川上」、「タン＝こちらの」⇔「近隣の同地勢」、「集中する湖沼の解釈」「集中する低い山の解釈」など。確実性の低いものは★4つ。

・解釈評価：★★★★
◇縄文語と上古音の発音と特徴的な地勢が一致する解釈。
◇隣接する県と辻褄の合う特徴的な地勢。
※「岩崖」「滝」「湖沼」など。

・解釈評価：★★★
◇縄文語と上古音の発音と一般的な地勢が一致する解釈。
◇特徴的な地勢と一致するが、発音があまり一致しない解釈。
◇他地域の同じ地勢と同一解釈が可能な解釈。
※特定の「川」「山」「低地」など、はっきりとどこを指したか分かるもの。

・解釈評価：★★
◇どこの地勢を指したかは不分明だが、無理なく縄文語（アイヌ語）解釈できるもの。

・解釈評価：★
◇縄文語解釈できないもの。不明なもの。

■■■　幽州　上谷郡　■■■ ■（上谷郡）沮陽県
・時代：前漢
・上古音：「沮」ts i̯o／ts ǐa／ts jaɡ／ts jaɣ／ts jagh
・上古音：「沮」dzʰ i̯o／dz ǐa／dzʰ jaɡ／dz jaɣ／dz jagx
・上古音：「陽」d i̯aŋ／ʎ ǐaŋ／d jaŋ／r iaŋ／r ang
・場所：現在の河北省張家口市懐来県
・地勢：盆地。桑干河の岸辺。
・解釈評価：★★★★

◎縄文語：沮陽＝「チゥ・ヤー」＝「水流、水脈の・陸岸」

　縄文語解釈と地勢が完全一致しています。




■（上谷郡）軍都県
・時代：前漢
・上古音：「軍」k i̯wən／k ǐwən／- -／k jwən／- -
・上古音：「都」t o／t a／t ɑɡ／t aɣ／t ag
・場所：現在の北京市昌平区
・地勢：北京市西部の山裾。
・解釈評価：★★★★

◎縄文語：軍都＝「キル・トー」＝「山の・湖沼」

　縄文語解釈と地勢が完全一致しています。次項の居庸県とも辻褄が合います。






■（上谷郡）居庸県
・時代：前漢
・上古音：「居」k i̯o／k ǐa／k jaɡ／k jaɣ／k jag
・上古音：「庸」d i̯uŋ／ʎ ǐwɔŋ／d juŋ／r iewŋ／r ung
・場所：現在の北京市昌平区
・地勢：北京市西部の山裾の岸辺。万里の長城の居庸関がある。
・解釈評価：★★★★

◎縄文語：居庸＝「キル・ヤー」＝「山の・陸岸」

　縄文語解釈と地勢が完全一致しています。前項の軍都県とも辻褄が合います。




■（上谷郡）雊瞀県
・時代：前漢
・上古音：「雊」k u／k ɔ／- -／k ew／- -
・上古音：「庸」d i̯uŋ／ʎ ǐwɔŋ／d juŋ／r iewŋ／r ung
・場所：現在の河北省張家口市蔚県北東部
・地勢：盆地、低い山並み。西隣の盆地に通じる小さな谷、沢。
・解釈評価：★★★★

◎縄文語：雊瞀＝「クッ・ヤー」＝「崖の・陸岸」

　縄文語解釈と地勢が完全一致しています。

⇒蔚県の風景（急峻な崖の岸）



■（上谷郡）寧県
・時代：前漢
・上古音：「寧」n ieŋ／n ieŋ／n ieŋ／- -／n ing
・場所：現在の河北省張家口市万全県一帯
・地勢：盆地西部の洋河の岸辺、低い山並み、丘陵
・解釈評価：★★

◎縄文語：寧＝「ニー」＝「林、森」




■（上谷郡）広寧県
・時代：前漢
・上古音：「廣」k wɑŋ／k uaŋ／k uɑŋ／k waŋ／kw angx
・上古音：「寧」n ieŋ／n ieŋ／n ieŋ／- -／n ing
・場所：現在の河北省張家口市涿鹿県一帯
・地勢：盆地西部の洋河の岸辺、低い山並み、丘陵
・解釈評価：★★

◎縄文語：広寧＝「コッ・ニィェ」＝「窪地の・林、森」




■（上谷郡）涿鹿県
・時代：前漢
・上古音：「涿」t ŭk／t eɔk／t uk／t rewk／t ruk
・上古音：「鹿」l uk／l ɔk／- -／l ewk／- -
・場所：現在の河北省張家口市涿鹿県
・地勢：盆地西部の洋河の岸辺、低い山並み、丘陵
・解釈評価：★★

◎縄文語：涿鹿＝「タク・ラケ」＝「玉石の・低いところ」




■（上谷郡）且居県
・時代：前漢
・上古音：「且」tsʰ i̯ɔ／ts ia／tsʰ jăɡ／tsʰ jiaɣ／tsh jiagx
・上古音：「居」k i̯o／k ǐa／k jaɡ／k jaɣ／k jag
・場所：現在の河北省張家口市宣化区南東部
・地勢：盆地西部の洋河の岸辺、低い山並み、丘陵
・解釈評価：★★★

◎縄文語：且居＝「チゥ・カ」＝「水流、水脈の・ほとり」

　縄文語解釈と地勢が完全に一致しています。




■（上谷郡）女祁県
・時代：前漢
・上古音：「女」n i̯o／n ǐa／n jaɡ／n iaɣ／n rjagh
・上古音：「祁」ɡʰ i̯ær／g ǐei／ɡʰ jed／ɡ ier／g jid
・場所：現在の河北省赤城県南部
・地勢：洋河の北岸の山塊、谷。
・解釈評価：★★★

◎縄文語：女祁＝「ニウェン・キル」＝「荒い・山」

　縄文語解釈と地勢が完全に一致しています。

⇒赤城県の山（googlemap）




　今回は幽州漁陽郡。

【凡例】
・上古音： 高本漢系統／王力系統／董同龢系統／周法高系統／李方桂系統
　※それぞれ「聲母」「半角スペース」「韻母」と配置
　※該当する説が存在しないものには「-」を表記
〈参考〉漢字古今音資料庫（https://xiaoxue.iis.sinica.edu.tw/ccr/）

・解釈評価：★★★★★
◇周囲の地勢と対比可能な確度の高い解釈。
◇多くの近隣同一解釈。
※「パン＝川下」⇔「ペン＝川上」、「タン＝こちらの」⇔「近隣の同地勢」、「集中する湖沼の解釈」「集中する低い山の解釈」など。確実性の低いものは★4つ。

・解釈評価：★★★★
◇縄文語と上古音の発音と特徴的な地勢が一致する解釈。
◇隣接する県と辻褄の合う特徴的な地勢。
※「岩崖」「滝」「湖沼」など。

・解釈評価：★★★
◇縄文語と上古音の発音と一般的な地勢が一致する解釈。
◇特徴的な地勢と一致するが、発音があまり一致しない解釈。
◇他地域の同じ地勢と同一解釈が可能な解釈。
※特定の「川」「山」「低地」など、はっきりとどこを指したか分かるもの。

・解釈評価：★★
◇どこの地勢を指したかは不分明だが、無理なく縄文語（アイヌ語）解釈できるもの。

・解釈評価：★
◇縄文語解釈できないもの。不明なもの。

■■■　幽州　漁陽郡　■■■ ■（漁陽郡）漁陽県
・時代：後漢
・上古音：「漁」ŋ i̯o／ŋ ǐa／ŋ jaɡ／ŋ jaɣ／ng jag
・上古音：「陽」d i̯aŋ／ʎ ǐaŋ／d jaŋ／r iaŋ／r ang
・場所：現在の北京市密雲区南西部
・地勢：潮河上流の山裾、盆地、山塊
・解釈評価：★★★★

◎縄文語：漁陽＝「キル・ヤー」＝「山の・陸岸」

　縄文語解釈と地勢が完全一致しています。




■（漁陽郡）狐奴県
・時代：後漢
・上古音：「狐」ɡʰ wo／ɣ a／ɣ uɑɡ／ɡ waɣ／gw ag
・上古音：「奴」n o／n a／n ɑɡ／n aɣ／n ag
・場所：現在の北京市順義区北東部
・地勢：潮白河流域の山裾
・解釈評価：★★★

◎縄文語：狐奴＝「カン・ナィ」＝「上にある・川」




■（漁陽郡）潞県
・時代：後漢
・上古音：「潞」ɡl ɑɡ／l a／l ɑɡ／l aɣ／gl agh
・場所：現在の北京市通州区
・地勢：潮白河流域の平地。
・解釈評価：★★★★

◎縄文語：潞＝「ラー」＝「低いところ」

　隣接する安楽県と低地の地勢で辻褄が合っています。




■（漁陽郡）安楽県
・時代：後漢
・上古音：「安」ʔ ɑn／0 an／ʔ ɑn／ʔ an／· an
・上古音：「樂」ŋl ŏk／ŋ eauk／ŋ ɔk／ŋ rawk／ng rakw
・上古音：「樂」ɡl ɔk／l auk／l ɔ̂k2／l awk／ngl akw
・場所：現在の北京市順義区北西部
・地勢：潮白河上流の山地のふもと。
・解釈評価：★★★★

◎縄文語：安楽＝「アン・ラケ」＝「一方の・低いところ」

　縄文語解釈と地勢が完全一致しています。隣接する潞県とも低地の地勢で辻褄が合っています。




■（漁陽郡）雍奴県
・時代：後漢
・上古音：「雍」ʔ i̯uŋ／0 ǐwɔŋ／- -／ʔ jewŋ／- -
・上古音：「奴」n o／n a／n ɑɡ／n aɣ／n ag
・場所：現在の天津市武清区
・地勢：潮白新河西岸の低地。
・解釈評価：★★★

◎縄文語：雍奴＝「ヤン・ナィ」＝「陸岸にある・川」

　当時の海岸線。縄文語解釈と地勢が完全に一致しています。




■（漁陽郡）泉州県
・時代：後漢
・上古音：「泉」dzʰ i̯wan／d ǐwan／dzʰ juæn／dz jiwan／dz juan
・上古音：「州」tɕ ／ȶ ǐ u／ȶ jŏ ɡ／t jəw／t jəgw
・場所：現在の天津市武清区南西部
・地勢：潮白新河西岸の低地。
・解釈評価：★★★★

◎縄文語：泉州＝「チゥ・チャ」＝「水脈、水流の・岸」




■（漁陽郡）平谷県
・時代：後漢
・上古音：「平」bʰ i̯ĕŋ／b ǐeŋ／bʰ jĕŋ／b ieŋ／b jing
・上古音：「谷」k uk／k ɔk／k ûk／k ewk／k uk
・上古音：「谷」- -／- -／l ûk／l ewk／l uk
・上古音：「谷」ɡ i̯uk／ʎ ǐwɔk／ɡ juk／ɣr iewk／g rjuk
・上古音：「谷」- -／- -／ɡʰ jak／ɡ jak／g jak
・場所：現在の北京市平谷区
・地勢：潮白河東岸の山地のふもと。
・解釈評価：★★★

◎縄文語：平谷
＝「ペン・コッ・ケ」＝「川上の・窪地、谷の・ところ」
or「ペン・ラケ」＝「川上の・低いところ」

　縄文語解釈と地勢が完全一致しています。




■（漁陽郡）傂奚県
・時代：後漢
・上古音：不明
・場所：現在の北京市密雲区
・地勢：潮河上流の山裾、盆地、山塊。
・解釈評価：★

◎縄文語：傂奚＝不明




■（漁陽郡）獷平県
・時代：後漢
・上古音：「獷」k wăŋ／k ǐwaŋ／k uăŋ／k rwaŋ／kw rangx
・上古音：「平」bʰ i̯ĕŋ／b ǐeŋ／bʰ jĕŋ／b ieŋ／b jing
・場所：現在の北京市密雲区
・地勢：潮河上流の山裾、盆地、山塊。
・解釈評価：★★★★

◎縄文語：獷平＝「カン・ぺー」＝「上にある・水」

　縄文語解釈と地勢が完全に一致しています。




■（漁陽郡）要陽県
・時代：後漢
・上古音：「要」ʔ i̯oɡ／0 ǐau／ʔ jɔɡ／ʔ jiaw／· jiagwh
・上古音：「陽」d i̯aŋ／ʎ ǐaŋ／d jaŋ／r iaŋ／r ang
・場所：現在の河北省承徳市豊寧満族自治県
・地勢：潮河上流の岩山。
・解釈評価：★★★★

◎縄文語：要陽＝「イェー・ヤー」＝「岩の・岸」

　縄文語解釈と地勢が完全に一致しています。




■（漁陽郡）白檀県
・時代：後漢
・上古音：「白」bʰ ăk／b eak／bʰ uăk／b rwak／b rak
・上古音：「檀」dʰ ɑn／d an／dʰ ɑn／d an／d an
・場所：現在の河北省承徳市灤平県北東部
・地勢：潮河上流東北の山塊。
・解釈評価：★★

◎縄文語：白檀＝「パケ・タ」＝「岬・の方」




■（漁陽郡）滑塩県
・時代：後漢
・上古音：「滑」- -／k uət／k uə̂t／k wət／kw ət
・上古音：「滑」k wət／- -／ɣ uə̂t／ɡ wət／gw ət
・上古音：「滑」ɡʰ wæt／ɣ oət／ɣ uət／ɡ rwət／gw rət
・上古音：「鹽」- -／ʎ ǐam／ɡ jam／ɣr iam／g rjam
・場所：現在の河北省承徳市灤平県南部
・地勢：潮河上流の山塊。
・解釈評価：★★

◎縄文語：滑塩＝「コッ・ヤー」＝「窪地、谷、沢の・陸岸」




　今回は幽州右北平郡／遼西郡。

【凡例】
・上古音： 高本漢系統／王力系統／董同龢系統／周法高系統／李方桂系統
　※それぞれ「聲母」「半角スペース」「韻母」と配置
　※該当する説が存在しないものには「-」を表記
〈参考〉漢字古今音資料庫（https://xiaoxue.iis.sinica.edu.tw/ccr/）

・解釈評価：★★★★★
◇周囲の地勢と対比可能な確度の高い解釈。
◇多くの近隣同一解釈。
※「パン＝川下」⇔「ペン＝川上」、「タン＝こちらの」⇔「近隣の同地勢」、「集中する湖沼の解釈」「集中する低い山の解釈」など。確実性の低いものは★4つ。

・解釈評価：★★★★
◇縄文語と上古音の発音と特徴的な地勢が一致する解釈。
◇隣接する県と辻褄の合う特徴的な地勢。
※「岩崖」「滝」「湖沼」など。

・解釈評価：★★★
◇縄文語と上古音の発音と一般的な地勢が一致する解釈。
◇特徴的な地勢と一致するが、発音があまり一致しない解釈。
◇他地域の同じ地勢と同一解釈が可能な解釈。
※特定の「川」「山」「低地」など、はっきりとどこを指したか分かるもの。

・解釈評価：★★
◇どこの地勢を指したかは不分明だが、無理なく縄文語（アイヌ語）解釈できるもの。

・解釈評価：★
◇縄文語解釈できないもの。不明なもの。

■■■　幽州　右北平郡／遼西郡　■■■ ■（右北平郡）平剛県
・時代：前漢
・上古音：「平」bʰ i̯ĕŋ／b ǐeŋ／bʰ jĕŋ／b ieŋ／b jing
・上古音：「剛」k ɑŋ／k aŋ／k ɑŋ／k aŋ／k ang
・場所：現在の内モンゴル自治区赤峰市寧城県
・地勢：北京市東北の山塊のふもと
・解釈評価：★★★★

◎縄文語：平剛＝「ペン・コッ」＝「川上の・窪地、谷、沢」

　縄文語解釈と地勢が完全に一致しています。




■（右北平郡）無終県
・時代：前漢
・上古音：「無」m i̯wo／m ǐwa／m juaɡ／m jwaɣ／m jag
・上古音：「終」ȶ ／- -／ȶ ǐuŋ／ȶ joŋ／t jəwŋ／t jəngw
・場所：現在の天津市薊州区
・地勢：北京市東方の山塊のふもと。
・解釈評価：★★★★

◎縄文語：無終＝「メム・テュ」＝「泉の・峰、岬」

　縄文語解釈と地勢が完全一致しています。




■（右北平郡）俊靡県
・時代：前漢
・上古音：「俊」ts i̯wən／ts iwən／ts juən／ts jiwən／ts jənh
・上古音：「靡」m ia／m ǐai／m jua／m iwa／m jiarx
・場所：現在の河北省遵化市北西部
・地勢：北京市東方の山塊のふもと、入り江、盆地
・解釈評価：★★★★

◎縄文語：俊靡＝「テュ・ウン・メム」＝「峰・にある・泉」

　縄文語解釈と地勢が完全一致しています。




■（右北平郡）徐無県
・時代：前漢
・上古音：「徐」dz i̯o／z ǐa／z jaɡ／r jaɣ／sd jag
・上古音：「無」m i̯wo／m ǐwa／m juaɡ／m jwaɣ／m jag
・場所：現在の河北省遵化市東部
・地勢：北京市東方の山塊のふもと、入り江、盆地
・解釈評価：★★★★

◎縄文語：徐無＝「チゥ・メム」＝「水流、水脈の・泉」

　縄文語解釈と地勢が完全一致しています。




■（右北平郡）土垠県
・時代：前漢
・上古音：「土」tʰ o／tʰ a／tʰ ɑɡ／tʰ aɣ／th agx
・上古音：「土」dʰ o／- -／- -／d aɣ／- -
・上古音：「垠」ŋ i̯ən／ŋ ǐən／ŋ jə̆n／ŋ jən／ng jən
・上古音：「垠」- -／- -／ŋ ə̂n／ŋ ən／ng ən
・場所：現在の河北省唐山市豊潤区銀城舗鎮
・地勢：北京市東方の山塊のふもとの小山。
・解釈評価：★★★

◎縄文語：土垠＝「トコム」＝「小山」

　縄文語解釈と地勢が完全一致しています。




■（右北平郡）白狼県
・時代：前漢
・上古音：「白」bʰ ăk／b eak／bʰ uăk／b rwak／b rak
・上古音：「狼」 l ɑŋ／l aŋ／l ɑŋ／l aŋ／l ang
・場所：現在の遼寧省朝陽市カラチン左翼モンゴル族自治県南西部
・地勢：北京市東北方の山。郡名は白狼山からという。
・解釈評価：★★★★

◎縄文語：白狼＝「パケ・ルム」＝「岬の・頭」

　縄文語解釈と地勢が完全一致しています。




■（遼西郡）且慮県
・時代：前漢
・上古音：「且」tsʰ i̯ɔ／ts ia／tsʰ jăɡ／tsʰ jiaɣ／tsh jiagx
・上古音：「慮」l i̯o／l ǐa／l jaɡ／l iaɣ／l jagh
・場所：現在の遼寧省朝陽市西部
・地勢：北京市東北方の山。
・解釈評価：★★★

◎縄文語：且慮＝「テュ・ラー」＝「峰の・低いところ」

　縄文語解釈と地勢が完全一致しています。




■（遼西郡）海陽県
・時代：前漢
・上古音：「海」xm əɡ／h ə／x ə̂ɡ, x uə̂ɡ／xm əɣ／hm əgx
・上古音：「陽」d i̯aŋ／ʎ ǐaŋ／d jaŋ／r iaŋ／r ang
・場所：現在の河北省唐山市灤州市西南
・地勢：北京市東方の山裾。
・解釈評価：★★★★

◎縄文語：海陽＝「パン・ヤー」＝「川下の・陸岸」

　縄文語解釈と地勢が完全一致しています。当時の海岸線。




■（遼西郡）新安平県
・時代：前漢
・上古音：「新」s i̯ĕn／s ǐen／s jen／s jien／s jin
・上古音：「安」ʔ ɑn／0 an／ʔ ɑn／ʔ an／· an
・上古音：「平」bʰ i̯ĕŋ／b ǐeŋ／bʰ jĕŋ／b ieŋ／b jing
・場所：現在の河北省唐山市灤州市北西部
・地勢：北京市東方の山裾。湖沼点在。
・解釈評価：★★★★

◎縄文語：安平＝「アゥ・ペー」＝「枝分かれた・水」

　縄文語解釈と地勢が完全一致しています。




■（遼西郡）柳城県
・時代：前漢
・上古音：「柳」l -／l ǐu／l jŏɡ／l iəw／l jəgwx
・上古音：「城」ȡ i̯ĕŋ／ʑ ǐeŋ／ʑ jeŋ／d jieŋ／d jing
・場所：現在の遼寧省朝陽市朝陽県南西部
・地勢：北京市と遼東半島の中間の山地、山裾、谷。
・解釈評価：★★★

◎縄文語：柳城＝「レル・チゥェ」＝「山向こう、山陰の・水流、水脈」

　縄文語解釈と地勢が完全一致しています。




■（遼西郡）令支県
・時代：前漢
・上古音：「令」l i̯ĕŋ／l ieŋ／l jeŋ／l ieŋ／l jingh
・上古音：「支」ȶ i̯ĕɡ／ȶ ǐe／c jeɡ／t jieɣ／k rjig
・場所：現在の河北省遷安市南西部
・地勢：北京市東方の山裾。
・解釈評価：★★★

◎縄文語：令支＝「レル・チゥェ」＝「山向こう、山陰の・水流、水脈」

　縄文語解釈と地勢が完全一致しています。




■（遼西郡）肥如県
・時代：前漢
・上古音：「肥」bʰ i̯wər／b ǐwəi／bʰ juə̆d／b jiwər／b jəd
・上古音：「如」ȵ i̯o／ȵ ǐa／ȵ jaɡ／n jaɣ／n jagh
・場所：現在の河北省秦皇島市盧竜県北部
・地勢：北京市東方の山裾。青龍河の東岸の山裾。
・解釈評価：★★

◎縄文語：肥如＝「ピナィ」＝「小石の川」




■（遼西郡）陽楽県
・時代：前漢
・上古音：「陽」d i̯aŋ／ʎ ǐaŋ／d jaŋ／r iaŋ／r ang
・上古音：「樂」ŋl ŏk／ŋ eauk／ŋ ɔk／ŋ rawk／ng rakw
・上古音：「樂」ɡl ɔk／l auk／l ɔ̂k2／l awk／ngl akw
・場所：現在の遼寧省錦州市義県西部
・地勢：渤海湾北岸の峰に挟まれた低地。
・解釈評価：★★★

◎縄文語：陽楽＝「ヤン・ラケ」＝「岸にある・低いところ」

　縄文語解釈と地勢が完全に一致しています。




■（遼西郡）徒河県
・時代：前漢
・上古音：「徒」dʰ o／d a／dʰ ɑɡ／d aɣ／d ag
・上古音：「河」ɡʰ ɑ／ɣ ai／ɣ ɑ／ɡ a／g ar
・場所：現在の遼寧省錦州市一帯
・地勢：渤海湾北岸。
・解釈評価：★★★★★

◎縄文語：徒河＝「トー・カ」＝「海・岸」

　縄文語解釈と地勢が完全に一致しています。




■（遼西郡）文成県
・時代：前漢
・上古音：「文」m i̯wən／m ǐwən／m juə̆n／m jwən／m jən
・上古音：「成」ȡ i̯ĕŋ／ʑ ǐeŋ／ʑ jeŋ／d jieŋ／d jing
・場所：現在の遼寧省葫芦島市建昌県東部
・地勢：北京市と遼東半島の中間の低い山地。
・解釈評価：★★★

◎縄文語：文成＝「モ・チゥ」＝「小さな・川」

　縄文語解釈と地勢が完全に一致しています。




■（遼西郡）絫県（累県）
・時代：前漢
・上古音：「絫」- -／- -／l juər／l iwə／l jərx
・場所：現在の河北省秦皇島市昌黎県南東部
・地勢：北京市東方、渤海湾西岸の平地、山裾。
・解釈評価：★★★★

◎縄文語：絫＝「ラー」＝「低いところ」

　縄文語解釈と地勢が完全に一致しています。







　今回は幽州代郡。

【凡例】
・上古音： 高本漢系統／王力系統／董同龢系統／周法高系統／李方桂系統
　※それぞれ「聲母」「半角スペース」「韻母」と配置
　※該当する説が存在しないものには「-」を表記
〈参考〉漢字古今音資料庫（https://xiaoxue.iis.sinica.edu.tw/ccr/）

・解釈評価：★★★★★
◇周囲の地勢と対比可能な確度の高い解釈。
◇多くの近隣同一解釈。
※「パン＝川下」⇔「ペン＝川上」、「タン＝こちらの」⇔「近隣の同地勢」、「集中する湖沼の解釈」「集中する低い山の解釈」など。確実性の低いものは★4つ。

・解釈評価：★★★★
◇縄文語と上古音の発音と特徴的な地勢が一致する解釈。
◇隣接する県と辻褄の合う特徴的な地勢。
※「岩崖」「滝」「湖沼」など。

・解釈評価：★★★
◇縄文語と上古音の発音と一般的な地勢が一致する解釈。
◇特徴的な地勢と一致するが、発音があまり一致しない解釈。
◇他地域の同じ地勢と同一解釈が可能な解釈。
※特定の「川」「山」「低地」など、はっきりとどこを指したか分かるもの。

・解釈評価：★★
◇どこの地勢を指したかは不分明だが、無理なく縄文語（アイヌ語）解釈できるもの。

・解釈評価：★
◇縄文語解釈できないもの。不明なもの。

■■■　幽州　代郡　■■■ ■（代郡）桑乾県
・時代：前漢
・上古音：「桑」s ɑŋ／s aŋ／s ɑŋ／s aŋ／s ang
・上古音：「乾」k ɑn／k an／k ɑn／k an／k an
・上古音：「乾」ɡʰ i̯an／g ǐan／ɡʰ jan／ɡ ian／g jian
・場所：現在の河北省張家口市蔚県北東部
・地勢：北京市西方の盆地、山裾。
・解釈評価：★★★★

◎縄文語：桑乾＝「サン・カ」＝「平山or出崎の・ふもと」

　縄文語解釈と地勢が完全一致しています。
　通説は「毎年桑の実が熟する時期になると川が涸れる（wikipedia）」ということらしいですが、とても信じられません。




■（代郡）道人県
・時代：前漢
・上古音：「道」dʰ -／d u／dʰ ôɡ／d əw／d əgwx
・上古音：「人」ȵ i̯ĕn／ȵ ǐen／ȵ jen／n jien／n jin
・場所：現在の山西省大同市陽高県南東部
・地勢：北京市西方、大同盆地、山裾。桑干河の岸辺
・解釈評価：★★

◎縄文語：道人＝「タン・ニー」＝「こちらの・林、森」




■（代郡）馬城県
・時代：前漢
・上古音：「馬」m ɔ／m ea／m uăɡ／m rwaɣ／m ragx
・上古音：「城」ȡ i̯ĕŋ／ʑ ǐeŋ／ʑ jeŋ／d jieŋ／d jing
・場所：現在の河北省張家口市懐安県西部
・地勢：張家口市西部、洋河の岸辺、小さな山、山裾。
・解釈評価：★★★

◎縄文語：馬城＝「マ・チゥェ」＝「谷川の・水流、水脈」

　縄文語解釈と地勢が完全一致しています。




■（代郡）班氏県
・時代：前漢
・上古音：「班」p wan／p ean／p uan／p rwan／p ran
・上古音：「氏」ȡ i̯ĕɡ／ȶ ǐe／j jeɡ／d jieɣ／g rjigx
・場所：現在の山西省大同市南東部
・地勢：張家口市西部、山西高原、大同盆地、洋河の岸辺、小さな山、山裾。
・解釈評価：★★★★

◎縄文語：班氏＝「パン・チゥ」＝「川下の・水流、水脈」

　縄文語解釈と地勢が完全一致しています。平邑県、平舒県が川上で対比表現となっています。




■（代郡）狋氏県
・時代：前漢
・上古音：「狋」- -／- -／ŋ jed／ŋ ier／ng jid
・上古音：「氏」ȡ i̯ĕɡ／ȶ ǐe／j jeɡ／d jieɣ／g rjigx
・場所：現在の山西省大同市陽高県南東部
・地勢：山西高原山塊、盆地、谷、崖。
・解釈評価：★★★

◎縄文語：狋氏＝「キル・チゥェ」＝「山の・水脈、水流」

　縄文語解釈と地勢が完全に一致しています。




■（代郡）平邑県
・時代：前漢
・上古音：「平」bʰ i̯ĕŋ／b ǐeŋ／bʰ jĕŋ／b ieŋ／b jing
・上古音：「邑」ʔ i̯əp／0 ǐəp／ʔ jəp／ʔ iəp／· jəp
・場所：現在の山西省大同市雲州区
・地勢：山西高原盆地、谷
・解釈評価：★★★★★

◎縄文語：平邑＝「ペン・ヤー」＝「川上の・岸」

　縄文語解釈と地勢が完全一致しています。班氏県は唐河の川下の意で、平邑県、平舒県は川上の意。日本でもよくある「川上」と「川下」の対比表現です。




■（代郡）陽原県
・時代：前漢
・上古音：「陽」d i̯aŋ／ʎ ǐaŋ／d jaŋ／r iaŋ／r ang
・上古音：「原」ŋ i̯wăn／ŋ ǐwan／ŋ juăn／ŋ jwan／ngw jan
・場所：現在の河北省張家口市陽原県
・地勢：川岸。
・解釈評価：★★★★

◎縄文語：陽原＝「ヤーケ」＝「陸岸のところ」

　縄文語解釈と地勢が完全一致しています。




■（代郡）東安陽県
・時代：前漢
・上古音：「東」t uŋ／t ɔŋ／t ûŋ／t ewŋ／t ung
・上古音：「安」ʔ ɑn／0 an／ʔ ɑn／ʔ an／· an
・上古音：「陽」d i̯aŋ／ʎ ǐaŋ／d jaŋ／r iaŋ／r ang
・場所：現在の河北省張家口市陽原県南東部
・地勢：川岸、川岸の峰
・解釈評価：★★★★★

◎縄文語：東安陽＝「タン・アゥ・ヤー」＝「こちらの・枝分かれ（枝川）の・陸岸」

　縄文語解釈と地勢が完全一致しています。




■（代郡）参合県
・時代：前漢
・上古音：「三」s əm／s əm／s ə̂m／s əm／s əm
・上古音：「合」ɡʰ əp／ɣ əp／ɣ ə̂p／ɡ əp／g əp
・上古音：「合」- -／k əp／k ə̂p／k əp／k əp
・場所：現在の山西省大同市陽高県南部
・地勢：山西高原川岸、川岸の峰
・解釈評価：★★★★★

◎縄文語：参合＝「サム・コッ」＝「隣にある・窪地、谷、沢」

　 縄文語解釈と地勢が完全一致しています。前項の東安陽と同義です。




■（代郡）平舒県
・時代：前漢
・上古音：「平」bʰ i̯ĕŋ／b ǐeŋ／bʰ jĕŋ／b ieŋ／b jing
・上古音：「舒」ɕ i̯o／ɕ ǐa／ɕ jaɡ／stʰ jaɣ／sth jag
・場所：現在の山西省大同市広霊県西部
・地勢：山西高原川岸の峰
・解釈評価：★★★★★

◎縄文語：平舒＝「ペン・シル」＝「川上の・ところ」

　縄文語解釈と地勢が完全一致しています。周辺の川上、川下の解釈はことごとく整合性がとれています。唐河の「川下＝班氏県」「川上＝平邑県、平舒県」。




■（代郡）代県
・時代：前漢
・上古音：「代」dʰ əɡ／d ə／dʰ ə̂ɡ／d əɣ／d əgh
・場所：現在の河北省張家口市蔚県北東部
・地勢：盆地。
・解釈評価：★★★★

◎縄文語：代＝「タク」＝「石」

　縄文語解釈と地勢が完全に一致しています。

⇒代県の景色





■（代郡）霊丘県
・時代：前漢
・上古音：「靈」l ieŋ／l ieŋ／l ieŋ／l eŋ／l ing
・上古音：「丘」kʰ i̯ŭɡ／kʰ ǐwə／kʰ juə̆ɡ／kʰ jwəɣ／kh jəg
・場所：現在の河北省張家口市蔚県北東部
・地勢：盆地東部の山塊
・解釈評価：★★★★

◎縄文語：霊丘＝「リー・キル」＝「高い・山」

　縄文語解釈と地勢が完全一致しています。この周辺では最も高い山脈。標高2500ｍ以上の山並み。




■（代郡）鹵城県
・時代：前漢
・上古音：「鹵」l o／l a／l ɑɡ／l aɣ／l agx
・上古音：「城」ȡ i̯ĕŋ／ʑ ǐeŋ／ʑ jeŋ／d jieŋ／d jing
・場所：現在の山西省忻州市繁峙県東部
・地勢：太行山脈と山西高原の間の盆地。
・解釈評価：★★★

◎縄文語：鹵城＝「ラン・チゥ」＝「上から下に下る・水脈、水流」

　縄文語解釈と地勢が完全一致しています。




　今回は幽州玄菟郡／真番郡／臨屯郡／楽浪郡。

【凡例】
・上古音： 高本漢系統／王力系統／董同龢系統／周法高系統／李方桂系統
　※それぞれ「聲母」「半角スペース」「韻母」と配置
　※該当する説が存在しないものには「-」を表記
〈参考〉漢字古今音資料庫（https://xiaoxue.iis.sinica.edu.tw/ccr/）

・解釈評価：★★★★★
◇周囲の地勢と対比可能な確度の高い解釈。
◇多くの近隣同一解釈。
※「パン＝川下」⇔「ペン＝川上」、「タン＝こちらの」⇔「近隣の同地勢」、「集中する湖沼の解釈」「集中する低い山の解釈」など。確実性の低いものは★4つ。

・解釈評価：★★★★
◇縄文語と上古音の発音と特徴的な地勢が一致する解釈。
◇隣接する県と辻褄の合う特徴的な地勢。
※「岩崖」「滝」「湖沼」など。

・解釈評価：★★★
◇縄文語と上古音の発音と一般的な地勢が一致する解釈。
◇特徴的な地勢と一致するが、発音があまり一致しない解釈。
◇他地域の同じ地勢と同一解釈が可能な解釈。
※特定の「川」「山」「低地」など、はっきりとどこを指したか分かるもの。

・解釈評価：★★
◇どこの地勢を指したかは不分明だが、無理なく縄文語（アイヌ語）解釈できるもの。

・解釈評価：★
◇縄文語解釈できないもの。不明なもの。

■■■　幽州　玄菟郡／真番郡／臨屯郡／楽浪郡　■■■ ■楽浪郡
・時代：前漢
・上古音：「樂」ŋl ŏk／ŋ eauk／ŋ ɔk／ŋ rawk／ng rakw
・上古音：「樂」ɡl ɔk／l auk／l ɔ̂k2／l awk／ngl akw
・上古音：「浪」l ɑŋ／l aŋ／l ɑŋ／l aŋ／l angh
・場所：現在の平壌が中心地
・地勢： 山裾の川沿いの低地
・解釈評価：★★★★

◎縄文語：楽浪＝「ランケ・ラー」＝「下にある・低いところ」

　縄文語解釈と地勢が完全に一致しています。





■玄菟郡
・時代：前漢
・上古音：「玄」ɡʰ iwen／ɣ iwen／ɣ iuen／ɡ wen／gw in
・上古音：「菟」- -／tʰ a／- -／d aɣ／- -
・場所：朝鮮半島北部
・地勢：不明
・解釈評価：★★

◎縄文語：玄菟＝「キル・タ」＝「山の・方」



■真番郡
・時代：前漢
・上古音：「真」ȶ i̯ĕn／ȶ ǐen／ȶ jen／t jien／t jin
・上古音：「番」pʰ i̯wăn／pʰ ǐwan／pʰ juăn／pʰ jwan／ph jan
・上古音：「番」- -／pʰ uan／pʰ uɑn／pʰ wan／ph an
・上古音：「番」p wɑr／p uai／- -／p wa／- -
・上古音：「番」- -／p uai／p uɑ／p wa／p arh
・場所：朝鮮半島北部
・地勢：不明
・解釈評価：★★

◎縄文語：真番＝「チン・パ」＝「崖の・岬」



■臨屯郡
・時代：前漢
・上古音：「臨」bl i̯əm／l ǐəm／l jəm／l iəm／bl jəmh
・上古音：「屯」t i̯wən／- -／t juən／t iwən／t rjən
・上古音：「屯」 dʰ wən／d uən／dʰ uə̂n／d wən／d ən
・場所：朝鮮半島北部
・地勢：不明
・解釈評価：★★

◎縄文語：臨屯
＝「ラム・テュ」＝「低い・峰」
or「ラン・テュ」＝「上から下に下る・峰」



　今回は豫州潁川郡。

【凡例】
・上古音： 高本漢系統／王力系統／董同龢系統／周法高系統／李方桂系統
　※それぞれ「聲母」「半角スペース」「韻母」と配置
　※該当する説が存在しないものには「-」を表記
〈参考〉漢字古今音資料庫（https://xiaoxue.iis.sinica.edu.tw/ccr/）

・解釈評価：★★★★★
◇周囲の地勢と対比可能な確度の高い解釈。
◇多くの近隣同一解釈。
※「パン＝川下」⇔「ペン＝川上」、「タン＝こちらの」⇔「近隣の同地勢」、「集中する湖沼の解釈」「集中する低い山の解釈」など。確実性の低いものは★4つ。

・解釈評価：★★★★
◇縄文語と上古音の発音と特徴的な地勢が一致する解釈。
◇隣接する県と辻褄の合う特徴的な地勢。
※「岩崖」「滝」「湖沼」など。

・解釈評価：★★★
◇縄文語と上古音の発音と一般的な地勢が一致する解釈。
◇特徴的な地勢と一致するが、発音があまり一致しない解釈。
◇他地域の同じ地勢と同一解釈が可能な解釈。
※特定の「川」「山」「低地」など、はっきりとどこを指したか分かるもの。

・解釈評価：★★
◇どこの地勢を指したかは不分明だが、無理なく縄文語（アイヌ語）解釈できるもの。

・解釈評価：★
◇縄文語解釈できないもの。不明なもの。

■■■　豫州　潁川郡　■■■ ■（潁川郡）昆陽県
・時代：漢～
・上古音：「昆」k wən／k uən／k uə̂n／k wən／kw ən
・上古音：「陽」d i̯aŋ／ʎ ǐaŋ／d jaŋ／r iaŋ／r ang
・場所：現在の河南省平頂山市
・地勢：灞源山地の東の山裾の湖沼地帯。
・解釈評価：★★★★

◎縄文語：昆陽＝「カン・ヤー」＝「上にある・岸」

　縄文語解釈と地勢が完全に一致しています。




■（潁川郡）潁陽県
・時代：漢～
・上古音：「潁」- -／ʎ ǐweŋ／ɡ jueŋ／- -／gw rjingx
・上古音：「陽」d i̯aŋ／ʎ ǐaŋ／d jaŋ／r iaŋ／r ang
・場所：現在の河南省鄭州市登封市
・地勢：灞源山地の東麓の独立した山地。
・解釈評価：★★★★★

◎縄文語：潁陽＝「イェー・ヤー」＝「岩の・陸岸」

　縄文語解釈と地勢が完全に一致しています。比定地を同じくする下記県の解釈とも辻褄が合います。

◎縄文語：陽城＝「ヤン・チン」＝「陸岸にある・崖」
◎縄文語：崇高＝「チン・コッ」＝「崖の・谷」
◎縄文語：綸氏＝「リー・チン」＝「高い・崖」

⇒嵩山（wikipedia）
河南嵩山（2007 年 12 月／著者 张骐）パブリックドメイン
张骐, Public domain, via Wikimedia Commons





■（潁川郡）定陵県
・時代：漢～
・上古音：「定」dʰ ieŋ／d ieŋ／dʰ ieŋ／d eŋ／d ingh
・上古音：「定」t ieŋ／- -／- -／t eŋ／- -
・上古音：「陵」l i̯əŋ／l ǐəŋ／l jəŋ／l iəŋ／l jəng
・場所：現在の河南省漯河市舞陽県
・地勢：灞源山地の東麓の独立した山地の山裾の平地。
・解釈評価：★★★★

◎縄文語：定陵＝「タン・ラー」＝「こちらの・低いところ」

　縄文語解釈と地勢が完全に一致しています。比定地を同じくする舞陽県の解釈とも辻褄が合います。

◎縄文語：舞陽＝「メム・ヤー」＝「泉or古い川の・陸岸」




■（潁川郡）長社県
・時代：漢～
・上古音：「長」t i̯aŋ／t ǐaŋ／t jaŋ／t iaŋ／t rjangx
・上古音：「長」dʰ i̯aŋ／d ǐaŋ／dʰ jaŋ／d iaŋ／d rjangh
・上古音：「社」ȡ i̯ɔ／ʑ ia／ʑ jăɡ／d jiaɣ／d jiagx
・場所：現在の河南省許昌市長葛市
・地勢：灞源山地の東麓の独立した山地の山裾。
・解釈評価：★★

◎縄文語：長社＝「タン・チゥ」＝「こちらの・水流、水脈」




■（潁川郡）新汲県
・時代：漢～
・上古音：「新」s i̯ĕn／s ǐen／s jen／s jien／s jin
・上古音：「汲」k i̯əp／k ǐəp／k jəp／k iəp／k jəp
・場所：現在の河南省周口市扶溝県
・地勢：灞源山地の東麓の独立した山地の山裾
・解釈評価：★★★★★

◎縄文語：新汲＝「シコッ」＝「大きな窪地」

　周口市周辺は「窪地」関連の解釈で一致しています。比定地を同じくする扶溝も、隣接する扶楽県の解釈とも辻褄が合います。

◎縄文語：扶溝＝「ペン・コッ」＝「川上の・窪地」
◎縄文語：扶楽＝「ペン・ラケ」＝「川上の・低いところ」




■（潁川郡）襄城県
・時代：漢～
・上古音：「襄」sn i̯aŋ／s ǐaŋ／s jaŋ／s jaŋ／sn jang
・上古音：「城」ȡ i̯ĕŋ／ʑ ǐeŋ／ʑ jeŋ／d jieŋ／d jing
・場所：現在の河南省許昌市襄城県
・地勢：灞源山地の東麓の独立した山地の山裾。沙河北岸、支流汝河の岸辺。
・解釈評価：★★★★

◎縄文語：襄城＝「シアン・チゥ」＝「大きな・水脈、水流」

 縄文語解釈と地勢が完全に一致しています。




■（潁川郡）郾県
・時代：漢～
・上古音：「郾」ʔ i̯ăn／- -／ʔ jăn／ʔ jan／· janh
・場所：現在の河南省漯河市郾城区
・地勢：灞源山地の東麓の平原。
・解釈評価：★★

◎縄文語：郾＝「ヤー」＝「陸岸」




■（潁川郡）郟県
・時代：漢～
・上古音：「郟」k ăp／k eap／k ɐp／k riap／k riap
・場所：現在の河南省平頂山市郟県
・地勢：灞源山地の東麓の平原。
・解釈評価：★★★

◎縄文語：郟＝「コッ」＝「窪地、谷、沢」

 縄文語解釈と地勢が完全に一致しています。




■（潁川郡）舞陽県
・時代：漢～
・上古音：「舞」m i̯wo／m ǐwa／m juaɡ／m jwaɣ／m jagx
・上古音：「陽」d i̯aŋ／ʎ ǐaŋ／d jaŋ／r iaŋ／r ang
・場所：現在の河南省漯河市舞陽県
・地勢：灞源山地の東麓の独立した山地の山裾の平地。
・解釈評価：★★★★

◎縄文語：舞陽＝「メム・ヤー」＝「泉or古い川の・陸岸」

　比定地を同じくする定陵県の解釈とも辻褄が合います。

◎縄文語：定陵＝「タン・ラー」＝「こちらの・低いところ」




■（潁川郡）潁陰県
・時代：漢～
・上古音：「潁」- -／ʎ ǐweŋ／ɡ jueŋ／- -／gw rjingx
・上古音：「陰」ʔ i̯əm／0 ǐəm／ʔ jəm／ʔ iəm／· jəm
・場所：現在の河南省許昌市魏都区
・地勢：灞源山地の東麓の独立した山地の山裾の平地。
・解釈評価：★

◎縄文語：潁陰＝不明




■（潁川郡）崇高県
・時代：漢～
・上古音：「崇」dʐʰ -／dʒ ǐuŋ／dzʰ oŋ／dz iəwŋ／dz rjəngw
・上古音：「高」k oɡ／k au／k ɔ̂ɡ／k aw／k agw
・場所：現在の河南省鄭州市登封市
・地勢：灞源山地の東麓の独立した山地の間、谷。嵩山。
・解釈評価：★★★★★

◎縄文語：崇高＝「チン・コッ」＝「崖の・谷」

 縄文語解釈と地勢が完全に一致しています。比定地を同じくする下記県の解釈とも辻褄が合います。

◎縄文語：陽城＝「ヤン・チン」＝「陸岸にある・崖」
◎縄文語：潁陽＝「イェー・ヤー」＝「岩の・陸岸」
◎縄文語：綸氏＝「リー・チン」＝「高い・崖」


⇒嵩山（wikipedia）
河南嵩山（2007 年 12 月／著者 张骐）パブリックドメイン
张骐, Public domain, via Wikimedia Commons





■（潁川郡）許県
・時代：漢～
・上古音：「許」x i̯o／h ǐa／x jaɡ／x jaɣ／hng jagx
・場所：現在の河南省許昌市建安区
・地勢：灞源山地の東麓の独立した山地の山裾の平地。
・解釈評価：★★★

◎縄文語：許＝「ハー・イ」＝「水が引いた・ところ」

　次項の隣接する鄢陵県とも辻褄が合います。




■（潁川郡）鄢陵県
・時代：漢～
・上古音：「鄢」- -／0 ǐan／ʔ jăn／ʔ jan／· janh
・上古音：「陵」l i̯əŋ／l ǐəŋ／l jəŋ／l iəŋ／l jəng
・場所：現在の河南省許昌市鄢陵県
・地勢：灞源山地の東麓の独立した山地の山裾の平地。
・解釈評価：★★★★★

◎縄文語：鄢陵＝「ヤン・ラー」＝「陸岸にある・低いところ」

　次項の隣接する臨潁県とまったくの同義です。極めて確度の高い縄文語解釈です。




■（潁川郡）臨潁県
・時代：漢～
・上古音：「臨」bl i̯əm／l ǐəm／l jəm／l iəm／bl jəmh
・上古音：「潁」- -／ʎ ǐweŋ／ɡ jueŋ／- -／gw rjingx
・場所：現在の河南省漯河市臨潁県
・地勢：灞源山地の東麓の独立した山地の山裾の平地。
・解釈評価：★★★★★

◎縄文語：臨潁＝「ラム・ヤー」＝「低い・陸岸」

　前項の隣接する鄢陵県とまったくの同義です。極めて確度の高い縄文語解釈です。




■（潁川郡）父城県
・時代：漢～
・上古音：「父」p i̯wo／p ǐwa／- -／p jwaɣ／- -
・上古音：「父」bʰ i̯wo／b ǐwa／bʰ juaɡ／b jwaɣ／b jagx
・上古音：「城」ȡ i̯ĕŋ／ʑ ǐeŋ／ʑ jeŋ／d jieŋ／d jing
・場所：現在の河南省平頂山市宝豊県
・地勢：灞源山地の東麓の独立した山地の山裾。
・解釈評価：★★

◎縄文語：父城＝「ポン・チゥ」＝「小さな・水流、水脈」




■（潁川郡）成安県
※陳留郡成安県参照。


■（潁川郡）周承休県
・時代：漢～
・上古音：「周」ȶ  -／ȶ ǐu／ȶ jŏɡ／t jəw／t jəgw
・上古音：「承」ȡ i̯əŋ／ʑ ǐəŋ／j jəŋ／d jiəŋ／g rjəng
・上古音：「休」x  -／h ǐu／x jŏɡ／x jəw／h jəgw
・場所：現在の河南省汝州市
・地勢：灞源山地東麓、独立した山地との間の谷。
・解釈評価：★★★★

◎縄文語：周承休＝「テューテュク・シル」＝「峰の先端の・山」

　縄文語解釈と地勢が完全に一致しています。




■（潁川郡）陽城県
・時代：漢～
・上古音：「陽」d i̯aŋ／ʎ ǐaŋ／d jaŋ／r iaŋ／r ang
・上古音：「城」ȡ i̯ĕŋ／ʑ ǐeŋ／ʑ jeŋ／d jieŋ／d jing
・場所：現在の河南省鄭州市登封市
・地勢：灞源山地東麓、独立した山地の谷。嵩山。
・解釈評価：★★★★★

◎縄文語：陽城＝「ヤン・チン」＝「陸岸にある・崖」

　縄文語解釈と地勢が完全に一致しています。比定地を同じくする下記県の解釈とも辻褄が合います。

◎縄文語：崇高＝「チン・コッ」＝「崖の・谷」
◎縄文語：潁陽＝「イェー・ヤー」＝「岩の・陸岸」
◎縄文語：綸氏＝「リー・チン」＝「高い・崖」

⇒嵩山（wikipedia）
河南嵩山（2007 年 12 月／著者 张骐）パブリックドメイン
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■（潁川郡）綸氏県
・時代：漢～
・上古音：「綸」l i̯wən／l ǐwən／l juən／l iwən／l jən
・上古音：「綸」- -／k oən／k uən／k rwən／kw rən
・上古音：「氏」ȡ i̯ĕɡ／ȶ ǐe／j jeɡ／d jieɣ／g rjigx
・場所：現在の河南省鄭州市登封市
・地勢：灞源山地東麓、独立した山地の谷。嵩山。
・解釈評価：★★★★★

◎縄文語：綸氏＝「リー・チン」＝「高い・崖」

　縄文語解釈と地勢が完全に一致しています。比定地を同じくする下記県の解釈とも辻褄が合います。

◎縄文語：陽城＝「ヤン・チン」＝「陸岸にある・崖」
◎縄文語：崇高＝「チン・コッ」＝「崖の・谷」
◎縄文語：潁陽＝「イェー・ヤー」＝「岩の・陸岸」




　今回は豫州汝南郡。

【凡例】
・上古音： 高本漢系統／王力系統／董同龢系統／周法高系統／李方桂系統
　※それぞれ「聲母」「半角スペース」「韻母」と配置
　※該当する説が存在しないものには「-」を表記
〈参考〉漢字古今音資料庫（https://xiaoxue.iis.sinica.edu.tw/ccr/）

・解釈評価：★★★★★
◇周囲の地勢と対比可能な確度の高い解釈。
◇多くの近隣同一解釈。
※「パン＝川下」⇔「ペン＝川上」、「タン＝こちらの」⇔「近隣の同地勢」、「集中する湖沼の解釈」「集中する低い山の解釈」など。確実性の低いものは★4つ。

・解釈評価：★★★★
◇縄文語と上古音の発音と特徴的な地勢が一致する解釈。
◇隣接する県と辻褄の合う特徴的な地勢。
※「岩崖」「滝」「湖沼」など。

・解釈評価：★★★
◇縄文語と上古音の発音と一般的な地勢が一致する解釈。
◇特徴的な地勢と一致するが、発音があまり一致しない解釈。
◇他地域の同じ地勢と同一解釈が可能な解釈。
※特定の「川」「山」「低地」など、はっきりとどこを指したか分かるもの。

・解釈評価：★★
◇どこの地勢を指したかは不分明だが、無理なく縄文語（アイヌ語）解釈できるもの。

・解釈評価：★
◇縄文語解釈できないもの。不明なもの。

■■■　豫州　汝南郡　■■■ ■（汝南郡）平輿県
・時代：漢～
・上古音：「平」bʰ i̯ĕŋ／b ǐeŋ／bʰ jĕŋ／b ieŋ／b jing
・上古音：「輿」 z i̯o／ʎ ǐa／- -／r iaɣ／- -
・場所：現在の河南省駐馬店市平輿県
・地勢：淮河支流の上流の岸
・解釈評価：★★★★★

◎縄文語：平輿＝「ペン・ヤー」＝「川上の・陸岸」

　下流の富陂県、博郷県と対の関係になっています。

◎縄文語：富陂＝「パン・ペー」＝「川下の・水」
◎縄文語：博郷＝「パンケ・シル」＝「川下の・ところ」




■（汝南郡）富陂県
・時代：漢～
・上古音：「富」p i̯ŭɡ／p ǐwə／p juə̆ɡ／p jwəɣ／p jəgh
・上古音：「陂」p ia／p ǐai／p jua／p iwa／p jiarh
・場所：現在の安徽省阜陽市阜南県
・地勢：淮河支流の北岸の平原。
・解釈評価：★★★★★

◎縄文語：富陂＝「パン・ペー」＝「川下の・水」

　南に接する博郷県も「川下」の意で一致しています。淮河と支流の合流点ととらえることができます。

◎縄文語：博郷＝「パンケ・シル」＝「川下の・ところ」

　上流の平輿県とは対の関係になっています。

◎縄文語：平輿＝「ペン・ヤー」＝「川上の・陸岸」



■（汝南郡）㶏強県
・時代：漢～
・上古音：「㶏」- -／- -／ʔ jə̆n／ʔ jən／· jənh
・上古音：「強」ɡʰ i̯aŋ／g ǐaŋ／ɡʰ jaŋ／ɡ jaŋ／g jang
・場所：現在の河南省許昌市長葛市
・地勢：淮河支流の上流の岸、山裾
・解釈評価：★★★

◎縄文語：㶏強＝「ヤン・キル」＝「陸岸にある・山」

　縄文語解釈と地勢が完全に一致しています。




■（汝南郡）汝陽県
・時代：漢～
・上古音：「汝」ȵ i̯o／ȵ ǐa／ȵ jaɡ／n jaɣ／n jagx
・上古音：「陽」d i̯aŋ／ʎ ǐaŋ／d jaŋ／r iaŋ／r ang
・場所：現在の河南省周口市商水県
・地勢：淮河支流の上流の岸
・解釈評価：★★★★

◎縄文語：汝陽＝「ニン・ヤー」＝「水がしみこんだ・陸岸」

　周口市周辺は「窪地」関連の解釈で一致しています。




■（汝南郡）鮦陽県
・時代：漢～
・上古音：「鮦」- -／- -／dʰ ûŋ／d ewŋ／d ung
・上古音：「陽」d i̯aŋ／ʎ ǐaŋ／d jaŋ／r iaŋ／r ang
・場所：現在の安徽省阜陽市臨泉県
・地勢：淮河北岸、支流の岸
・解釈評価：★★★

◎縄文語：鮦陽＝「タン・ヤー」＝「こちらの・陸岸」




■（汝南郡）安成県
・時代：漢～
・上古音：「安」ʔ ɑn／0 an／ʔ ɑn／ʔ an／· an
・上古音：「成」ȡ i̯ĕŋ／ʑ ǐeŋ／ʑ jeŋ／d jieŋ／d jing
・場所：現在の河南省駐馬店市汝南県
・地勢：淮河北岸。宿鴨湖沿岸。
・解釈評価：★★★★

◎縄文語：安成＝「アゥ・チゥェ」＝「枝分かれた・水流、水脈」

　縄文語解釈と地勢が完全に一致しています。




■（汝南郡）宜春県
・時代：漢～
・上古音：「宜」ŋ ia／ŋ ǐai／ŋ ja／ŋ ia／ng jar
・上古音：「春」ȶʰ i̯wən／ȶʰ ǐwən／ȶʰ juən／tʰ jiwən／th jən
・場所：現在の河南省駐馬店市汝南県
・地勢：淮河北岸、枝分かれた山地の麓、宿鴨湖沿岸
・解釈評価：★★★

◎縄文語：宜春＝「キル・チゥェ」＝「山の・水流、水脈」＝宿鴨湖

　宿鴨湖は人造湖ですが、ダムができる前から水がたまりやすい地勢だったということではないでしょうか。




■（汝南郡）新蔡県
・時代：漢～
・上古音：「新」s i̯ĕn／s ǐen／s jen／s jien／s jin
・上古音：「蔡」tsʰ ɑd／tsʰ at／tsʰ ɑd／tsʰ ar／tsh adh
・場所：現在の河南省駐馬店市新蔡県
・地勢：淮河北岸の平原。
・解釈評価：★★

◎縄文語：新蔡＝「シアン・チャ」＝「大きな・岸」




■（汝南郡）灈陽県
・時代：漢～
・上古音：「灈」- -／- -／ɡʰ juaɡ／ɡ jwaɣ／gw jiag
・上古音：「陽」d i̯aŋ／ʎ ǐaŋ／d jaŋ／r iaŋ／r ang
・場所：現在の河南省駐馬店市遂平県
・地勢：淮河北岸、枝分かれた山地の麓
・解釈評価：★★★

◎縄文語：灈陽＝「キル・ヤー」＝「山の・陸岸」

　縄文語解釈と地勢が完全一致しています。





■（汝南郡）慎陽県
・時代：漢～
・上古音：「慎」ȡ i̯ĕn／ʑ ǐen／ʑ jen／d jien／d jinh
・上古音：「陽」d i̯aŋ／ʎ ǐaŋ／d jaŋ／r iaŋ／r ang
・場所：現在の河南省駐馬店市正陽県
・地勢：淮河北岸の山裾の平原
・解釈評価：★★★

◎縄文語：慎陽＝「チゥ・ヤー」＝「水流、水脈の・陸岸」




■（汝南郡）召陵県
・時代：漢～
・上古音：「召」dʰ i̯oɡ／d ǐau／- -／d iaw／- -
・上古音：「召」ȡ i̯oɡ／ʑ ǐau／- -／d jiaw／- -
・上古音：「陵」l i̯əŋ／l ǐəŋ／l jəŋ／l iəŋ／l jəng
・場所：現在の河南省漯河市召陵区
・地勢：淮河北岸の支流沿岸の平原。
・解釈評価：★★★★

◎縄文語：召陵＝「タン・ラー」＝「こちらの・低いところ」

　東隣の周口市一帯が「低地」の解釈で一致ているので、その対比表現と捉えられます。




■（汝南郡）弋陽県
・時代：漢～
・上古音：「弋」d i̯ək／ʎ ǐək／d jək／r iək／r ək
・上古音：「陽」d i̯aŋ／ʎ ǐaŋ／d jaŋ／r iaŋ／r ang
・場所：現在の河南省信陽市潢川県
・地勢：淮河南岸の山裾。
・解釈評価：★★★

◎縄文語：弋陽＝「ラケ・ヤー」＝「低いところの・陸岸」




■（汝南郡）西平県
・時代：漢～
・上古音：「西」s iər／s iei／s ied／s er／s id
・上古音：「平」bʰ i̯ĕŋ／b ǐeŋ／bʰ jĕŋ／b ieŋ／b jing
・場所：現在の河南省駐馬店市西平県
・地勢：淮河北岸、枝分かれた山地の麓の平原。
・解釈評価：★★★★★

◎縄文語：西平＝「シ・ぺン」＝「最も・川上の」

　縄文語解釈と地勢が完全に一致しています。下流の平輿も「上流」の意なので、そのさらに上流という意になります。下流には「川下」の意の富陂県、博郷県があります。

◎縄文語：平輿＝「ペン・ヤー」＝「川上の・陸岸」
◎縄文語：富陂＝「パン・ペー」＝「川下の・水」
◎縄文語：博郷＝「パンケ・シル」＝「川下の・ところ」




■（汝南郡）上蔡県
・時代：漢～
・上古音：「上」ȡ i̯aŋ／ʑ ǐaŋ／ʑ jaŋ／d jaŋ／d jangh
・上古音：「蔡」tsʰ ɑd／tsʰ at／tsʰ ɑd／tsʰ ar／tsh adh
・場所：現在の河南省駐馬店市上蔡県
・地勢：淮河北岸、枝分かれた山地の麓の平原。
・解釈評価：★★★

◎縄文語：上蔡＝「チゥ・チャ」＝「水流、水脈の・岸」




■（汝南郡）寝県
・時代：漢～
・上古音：「寢」tsʰ i̯əm／tsʰ ǐəm／tsʰ jəm／tsʰ jiəm／tsh jəmx
・場所：現在の河南省信陽市固始県
・地勢：淮河南岸、支流の史河上流の山裾。
・解釈評価：★★

◎縄文語：寝＝「チャル」＝「川口（川の合流点）」




■（汝南郡）西華県
・時代：漢～
・上古音：「西」s iər／s iei／s ied／s er／s id
・上古音：「華」ɡʰ wɔ／ɣ oa／ɣ uăɡ／ɡ rwaɣ／gw ragh
・場所：現在の河南省周口市西華県
・地勢：灞源山地の東、淮河支流の潁河上流の岸辺の平原。
・解釈評価：★★★★★

◎縄文語：西華＝「シ・コッ」＝「大きな・窪地」

　周口市周辺は「窪地」関連の解釈で一致しています。




■（汝南郡）項県
・時代：漢～
・上古音：「項」ɡʰ ŭŋ／ɣ eɔŋ／ɣ uŋ／ɡ rewŋ／g rungx
・場所：現在の河南省周口市項城市
・地勢：灞源山地の東、淮河支流の潁河上流の岸辺の平原。
・解釈評価：★★★★★

◎縄文語：項＝「コッ」＝「窪地、谷、沢」

　周口市周辺は「窪地」関連の解釈で一致しています。




■（汝南郡）新郪県
・時代：漢～
・上古音：「新」s i̯ĕn／s ǐen／s jen／s jien／s jin
・上古音：「郪」- -／- -／tsʰ ied／tsʰ er／tsh id
・場所：現在の安徽省阜陽市太和県
・地勢：灞源山地の東、淮河支流の潁河上流の岸辺の平原。
・解釈評価：★★★

◎縄文語：新郪＝「シアン・チゥ」＝「広大な・水脈、水流」




■（汝南郡）安昌県
・時代：漢～
・上古音：「安」ʔ ɑn／0 an／ʔ ɑn／ʔ an／· an
・上古音：「昌」ȶʰ i̯aŋ／ȶʰ ǐaŋ／ȶʰ jaŋ／tʰ jaŋ／th jang
・場所：現在の河南省駐馬店市確山県
・地勢：淮河北岸の枝分かれた山裾
・解釈評価：★★★★

◎縄文語：安昌＝「アゥ・テュ」＝「枝分かれた・峰」

　縄文語解釈と地勢が完全一致しています。




■（汝南郡）安陽県
・時代：漢～
・上古音：「安」ʔ ɑn／0 an／ʔ ɑn／ʔ an／· an
・上古音：「陽」d i̯aŋ／ʎ ǐaŋ／d jaŋ／r iaŋ／r ang
・場所：現在の河南省安陽市安陽県
・地勢：黄河中流西岸の太行山脈の山裾。
・解釈評価：★★

◎縄文語：安陽＝「アゥ・ヤー」＝「枝分かれた・陸岸」




　今回は豫州梁国、梁郡。

【凡例】
・上古音： 高本漢系統／王力系統／董同龢系統／周法高系統／李方桂系統
　※それぞれ「聲母」「半角スペース」「韻母」と配置
　※該当する説が存在しないものには「-」を表記
〈参考〉漢字古今音資料庫（https://xiaoxue.iis.sinica.edu.tw/ccr/）

・解釈評価：★★★★★
◇周囲の地勢と対比可能な確度の高い解釈。
◇多くの近隣同一解釈。
※「パン＝川下」⇔「ペン＝川上」、「タン＝こちらの」⇔「近隣の同地勢」、「集中する湖沼の解釈」「集中する低い山の解釈」など。確実性の低いものは★4つ。

・解釈評価：★★★★
◇縄文語と上古音の発音と特徴的な地勢が一致する解釈。
◇隣接する県と辻褄の合う特徴的な地勢。
※「岩崖」「滝」「湖沼」など。

・解釈評価：★★★
◇縄文語と上古音の発音と一般的な地勢が一致する解釈。
◇特徴的な地勢と一致するが、発音があまり一致しない解釈。
◇他地域の同じ地勢と同一解釈が可能な解釈。
※特定の「川」「山」「低地」など、はっきりとどこを指したか分かるもの。

・解釈評価：★★
◇どこの地勢を指したかは不分明だが、無理なく縄文語（アイヌ語）解釈できるもの。

・解釈評価：★
◇縄文語解釈できないもの。不明なもの。

■■■　豫州　梁国、梁郡　■■■ ■（梁国、梁郡）碭県
・時代：漢～
・上古音：「碭」dʰ ɑŋ／d aŋ／dʰ ɑŋ／d aŋ／d angh
・場所：現在の安徽省宿州市碭山県
・地勢：微山湖西方の平原。
・解釈評価：★★★★★

◎縄文語：碭＝「トー」＝「湖沼」

　比定地を同じくする下邑県、隣接する虞県とも辻褄が合います。

◎縄文語：下邑＝「コッ・ヤー」＝「窪地、谷、沢の・陸岸」
◎縄文語：虞＝「コッ」＝「窪地、谷、沢」




■（梁国、梁郡）甾県
・時代：漢～
・上古音：「甾」 tʂ i̯əɡ／- -／ts əɡ／ts iəɣ／ts rjəg
・場所：現在の河南省商丘市民権県
・地勢：微山湖西方の平原。
・解釈評価：★★★★

◎縄文語：甾＝「チゥ」＝「水流、水脈」

　開封市、商丘市西部の地名の多くは湖沼、岸辺などの水辺に類する解釈が可能です。




■（梁国、梁郡）杼秋県
・時代：漢～
・上古音：「杼」 dʰ i̯o／ȡ ǐa／ȡʰ jaɡ／zd jaɣ／d jagx
・上古音：「秋」tsʰ -／tsʰ ǐu／tsʰ jŏɡ／tsʰ jəw／tsh jəgw
・場所：現在の安徽省宿州市蕭県
・地勢：微山湖西南の山裾。
・解釈評価：★★★★★

◎縄文語：杼秋＝「タン・テュ」＝「こちらの・峰」

　縄文語解釈と地勢が完全に一致しています。
　この周辺は微山湖南方の山を形容した解釈で一致しています。




■（梁国、梁郡）蒙県
・時代：漢～
・上古音：「蒙」m uŋ／m ɔŋ／m ûŋ／m ewŋ／m ung
・場所：現在の河南省商丘市梁園区
・地勢：微山湖西方の平原。
・解釈評価：★★★★

◎縄文語：蒙＝「メム」＝「泉or古い川」

　開封市、商丘市西部の地名の多くは湖沼、岸辺などの水辺に類する解釈が可能です。




■（梁国、梁郡）己氏県
・時代：漢～
・上古音：「己」k i̯əɡ／k ǐə／k jəɡ／k iəɣ／k jəgx
・上古音：「氏」ȡ i̯ĕɡ／ȶ ǐe／j jeɡ／d jieɣ／g rjigx
・場所：現在の山東省菏沢市曹県
・地勢：微山湖西方の平原。
・解釈評価：★★★★

◎縄文語：己氏＝「コッ・チャ」＝「窪地、谷、沢の・岸」

　黄河故道があります。




■（梁国、梁郡）虞県
・時代：漢～
・上古音：「虞」ŋ i̯wo／ŋ ǐwa／ŋ juaɡ／ŋ jwaɣ／ngw jag
・場所：現在の河南省商丘市虞城県
・地勢：微山湖西方の平原
・解釈評価：★★★★★

◎縄文語：虞＝「コッ」＝「窪地、谷、沢」

　商丘市一帯は水辺の解釈で一致しています。次項の隣接する下邑県、碭県の解釈とも辻褄が合います。

◎縄文語：下邑＝「コッ・ヤー」＝「窪地、谷、沢の・陸岸」
◎縄文語：碭＝「トー」＝「湖沼」




■（梁国、梁郡）下邑県
・時代：漢～
・上古音：「下」ɡʰ ɔ／ɣ ea／ɣ ăɡ／ɡ raɣ／g ragx
・上古音：「邑」ʔ i̯əp／0 ǐəp／ʔ jəp／ʔ iəp／· jəp
・場所：現在の安徽省宿州市碭山県
・地勢：微山湖西方の平原
・解釈評価：★★★★★

◎縄文語：下邑＝「コッ・ヤー」＝「窪地、谷、沢の・陸岸」

　比定地を同じくする碭県、前項の隣接する虞県の解釈とも辻褄が合います。

◎縄文語：碭＝「トー」＝「湖沼」
◎縄文語：虞＝「コッ」＝「窪地、谷、沢」




■（梁国、梁郡）睢陽県
・時代：漢～
・上古音：「睢」- -／s ǐwəi／s juəd／s jiwər／st jəd
・上古音：「睢」- -／- -／ x juəd／x jiwər／hw jiədh
・上古音：「陽」d i̯aŋ／ʎ ǐaŋ／d jaŋ／r iaŋ／r ang
・場所：現在の河南省商丘市睢陽区
・地勢：微山湖西方の平原
・解釈評価：★★★★

◎縄文語：睢陽＝「シアン・ヤー」＝「大きな・陸岸」

 　商丘市一帯は水辺の解釈で一致しています。。




　今回は豫州沛郡。

【凡例】
・上古音： 高本漢系統／王力系統／董同龢系統／周法高系統／李方桂系統
　※それぞれ「聲母」「半角スペース」「韻母」と配置
　※該当する説が存在しないものには「-」を表記
〈参考〉漢字古今音資料庫（https://xiaoxue.iis.sinica.edu.tw/ccr/）

・解釈評価：★★★★★
◇周囲の地勢と対比可能な確度の高い解釈。
◇多くの近隣同一解釈。
※「パン＝川下」⇔「ペン＝川上」、「タン＝こちらの」⇔「近隣の同地勢」、「集中する湖沼の解釈」「集中する低い山の解釈」など。確実性の低いものは★4つ。

・解釈評価：★★★★
◇縄文語と上古音の発音と特徴的な地勢が一致する解釈。
◇隣接する県と辻褄の合う特徴的な地勢。
※「岩崖」「滝」「湖沼」など。

・解釈評価：★★★
◇縄文語と上古音の発音と一般的な地勢が一致する解釈。
◇特徴的な地勢と一致するが、発音があまり一致しない解釈。
◇他地域の同じ地勢と同一解釈が可能な解釈。
※特定の「川」「山」「低地」など、はっきりとどこを指したか分かるもの。

・解釈評価：★★
◇どこの地勢を指したかは不分明だが、無理なく縄文語（アイヌ語）解釈できるもの。

・解釈評価：★
◇縄文語解釈できないもの。不明なもの。

■■■　豫州　沛郡　■■■

■（沛郡）竜亢県
・時代：漢～
・上古音：「龍」l i̯uŋ／l ǐwɔŋ／l juŋ／l iewŋ／l jung
・上古音：「亢」kʰ ɑŋ／kʰ aŋ／kʰ ɑŋ／kʰ aŋ／kh angh
・場所：現在の安徽省蚌埠市懐遠県
・地勢：淮河沿岸の湖沼地帯。
・解釈評価：★★★★

◎縄文語：竜亢＝「リル・カ」＝「波の・ほとり」




■（沛郡）竹県
・時代：漢～
・上古音：「竹」t／t ǐuk／t jok／t iəwk／t rjəkw
・場所：現在の安徽省宿州市埇橋区
・地勢：微山湖南方の山並みの麓。
・解釈評価：★★★★★

◎縄文語：竹＝「テュク」＝「小山」

　縄文語解釈と地勢が完全に一致しています。
　この周辺は微山湖南方の山を形容した解釈で一致しています。

⇒埇橋区の山並み（googlemap）




■（沛郡）穀陽県
・時代：漢～
・上古音：「穀」k uk／k ɔk／k ûk／k ewk／k uk
・上古音：「陽」d i̯aŋ／ʎ ǐaŋ／d jaŋ／r iaŋ／r ang
・場所：現在の安徽省蚌埠市固鎮県
・地勢：淮河北岸の支流沿岸、支流の浍河沿岸。浍河が蛇行。
・解釈評価：★★★

◎縄文語：穀陽＝「コムケ・ヤー」＝「曲がっている・陸岸」

　縄文語解釈と地勢が完全に一致しています。




■（沛郡）蕭県
・時代：漢～
・上古音：「蕭」s  -／s iu／s ioɡ／s eəw／s iəgw
・場所：現在の安徽省宿州市蕭県
・地勢：微山湖南西の山地の麓
・解釈評価：★★★★★

◎縄文語：蕭＝「シル」＝「山」

　縄文語解釈と地勢が完全に一致しています。
　この周辺は微山湖南方の山を形容した解釈で一致しています。




■（沛郡）向県
・時代：漢～
・上古音：「向」- -／- -／ç jaŋ／stʰ jaŋ／- -
・上古音：「向」x i̯aŋ／h ǐaŋ／x jaŋ／x jaŋ／h jangh
・場所：現在の安徽省蚌埠市懐遠県
・地勢：淮河北岸の湖沼地帯と禹王宮の山。
・解釈評価：★★★

◎縄文語：向＝「シ・ヤー」＝「大きな・陸岸」




■（沛郡）銍県
・時代：漢～
・上古音：「銍」t i̯ĕt／t ǐet／t jet／t iet／t rjit
・場所：現在の安徽省淮北市濉渓県
・地勢：微山湖と淮河の間の平地。
・解釈評価：★★★★★

◎縄文語：銍＝「テュ」＝「峰」

　この周辺は微山湖南方の山を形容した解釈で一致しています。




■（沛郡）広戚県
・時代：漢～
・上古音：「廣」k wɑŋ／k uaŋ／k uɑŋ／k waŋ／kw angx
・上古音：「戚」tsʰ -／tsʰ iuk／tsʰ iok／tsʰ eəwk／sth iəkw
・場所：現在の山東省済寧市微山県
・地勢：微山湖と沿岸の山。
・解釈評価：★★★★★

◎縄文語：広戚＝「コッ・テュク」＝「窪地の・小山」

　縄文語解釈と地勢が完全一致しています。微山湖東岸の山は「低山」の解釈で一致しています。

◎縄文語：合郷＝「カパル・シル」＝「薄っぺらな、平らな・山」
◎縄文語：襄賁＝「シル・ポ」＝「山の・小さいもの」＝小さな山
◎縄文語：繒＝「テュク」＝「小山」
◎縄文語：戚＝「テュク」＝「小山」
◎縄文語：広戚＝「コッ・テュク」＝「窪地の・小山」




■（沛郡）下蔡県
（九江郡）下蔡県に同じ。


■（沛郡）豊県
・時代：漢～
・上古音：「豊」l iər／- -／l ied／l er／l idx
・場所：現在の江蘇省徐州市豊県
・地勢：微山湖の西岸。
・解釈評価：★★★

◎縄文語：豊＝「ラー」＝「低いところ」

　縄文語解釈と地勢が完全に一致しています。




■（沛郡）鄲県
・時代：漢～
・上古音：「鄲」t ɑn／t an／t ɑn／t an／t an
・場所：現在の安徽省亳州市渦陽県
・地勢：淮河支流沿いの平原。
・解釈評価：★★★

◎縄文語：鄲＝「タィ」＝「森、林or川のそばの木原」

　次項以降の隣接する譙県、城父県の解釈とも辻褄が合います。




■（沛郡）譙県
・時代：漢～
・上古音：「譙」dzʰ i̯oɡ／dz ǐau／dzʰ jɔɡ／dz jiaw／dz jagw
・場所：現在の安徽省亳州市譙城区
・地勢：淮河支流沿いの平原。
・解釈評価：★★★★

◎縄文語：譙＝「チゥ」＝「水流、水脈」

　比定地を同じくする城父県とほぼ同義です。隣接する鄲県とも辻褄が合います。




■（沛郡）城父県
・時代：漢～
・上古音：「城」ȡ i̯ĕŋ／ʑ ǐeŋ／ʑ jeŋ／d jieŋ／d jing
・上古音：「父」p i̯wo／p ǐwa／- -／p jwaɣ／- -
・上古音：「父」bʰ i̯wo／b ǐwa／bʰ juaɡ／b jwaɣ／b jagx
・場所：現在の安徽省亳州市譙城区
・地勢：淮河支流沿いの平原。
・解釈評価：★★★★

◎縄文語：城父＝「チゥ・パ」＝「水流、水脈の・岸」

　比定地を同じくする譙県とほぼ同義です。隣接する鄲県とも辻褄が合います。




■（沛郡）蘄県
・時代：漢～
・上古音：「蘄」ɡʰ i̯ər／- -／ɡʰ jə̆d／ɡ jər／g jəd
・場所：現在の安徽省宿州市埇橋区
・地勢：微山湖と淮河の間の平原、峰。
・解釈評価：★★★★★

◎縄文語：蘄＝「キル」＝「山」

　縄文語解釈と地勢が完全に一致しています。
　この周辺は微山湖南方の山を形容した解釈で一致しています。

■（沛郡）虹県
・時代：漢～
・上古音：「虹」ɡʰ uŋ／ɣ ɔŋ／ɣ ûŋ／ɡ ewŋ／g ung
・上古音：「虹」- -／k ɔŋ／k ûŋ／k ewŋ／k ungh
・上古音：「虹」k ŭŋ／ɣ k eɔŋ／ɣ k uŋ／ɣ k rewŋ／ɣ k rungh
・場所：現在の安徽省蚌埠市五河県
・地勢：淮河北岸の湖沼地帯。
・解釈評価：★★★★

◎縄文語：虹＝「コッ」＝「窪地、谷、沢」

　縄文語解釈と地勢が完全に一致しています。




■（沛郡）山桑県
・時代：漢～
・上古音：「山」s ăn／ʃ ean／-／s rian／s rian
・上古音：「桑」s ɑŋ／s aŋ／s ɑŋ／s aŋ／s ang
・場所：現在の安徽省亳州市蒙城県
・地勢：淮河北岸、支流の川岸。
・解釈評価：★★★

◎縄文語：山桑＝「シアン・サ」＝「大きな・浜」




■（沛郡）公丘県
・時代：漢～
・上古音：「公」k uŋ／k ɔŋ／k ûŋ／k ewŋ／k ung
・上古音：「丘」kʰ i̯ŭɡ／kʰ ǐwə／kʰ juə̆ɡ／kʰ jwəɣ／kh jəg
・場所：現在の山東省棗荘市滕州市
・地勢：微山湖東岸の山裾。
・解釈評価：★★★★★

◎縄文語：公丘＝「コッ・ケ」＝「窪地の・ところ」

　縄文語解釈と地勢が完全に一致しています。比定地を同じくする昌慮県、滕国とも解釈が一致しています。

◎縄文語：滕＝「トー」＝「湖沼」
◎縄文語：昌慮＝「タン・ラー」＝「こちらの・低いところ」
・上古音：「昌」ȶʰ i̯aŋ／ȶʰ ǐaŋ／ȶʰ jaŋ／tʰ jaŋ／th jang
・上古音：「慮」l i̯o／l ǐa／l jaɡ／l iaɣ／l jagh




■（沛郡）符離県
・時代：漢～
・上古音：「符」bʰ i̯u／b ǐwɔ／bʰ juɡ／b jew／b jug
・上古音：「離」l ia／l ǐai／l ja／l ia／l jiarh
・場所：現在の安徽省宿州市埇橋区
・地勢：微山湖南岸の山裾。
・解釈評価：★★★

◎縄文語：符離＝「ペン・ラー」＝「川上の・低いところ」




■（沛郡）敬県
・時代：漢～
・上古音：「敬」k i̯ĕŋ／k ǐeŋ／k jĕŋ／k ieŋ／k jingh
・上古音：「丘」kʰ i̯ŭɡ／kʰ ǐwə／kʰ juə̆ɡ／kʰ jwəɣ／kh jəg
・場所：現在の河南省商丘市永城市
・地勢：微山湖西方の平原。
・解釈評価：★★★★★

◎縄文語：敬丘＝「キル・ケ」＝「山の・ところ」

　河南省商丘市永城市は「山のほとりの水辺」で解釈が一致しています。




■（沛郡）夏丘県
・時代：漢～
・上古音：「夏」ɡʰ ɔ／ɣ ea／ɣ ăɡ／ɡ raɣ／g ragh
・上古音：「丘」kʰ i̯ŭɡ／kʰ ǐwə／kʰ juə̆ɡ／kʰ jwəɣ／kh jəg
・場所：現在の安徽省宿州市泗県
・地勢：溧河支流の岸辺。
・解釈評価：★★★

◎縄文語：夏丘＝「コッ・ケ」＝「窪地、谷、沢の・ところ」

　縄文語解釈と地勢が完全に一致しています。




■（沛郡）洨県
・時代：漢～
・上古音：「洨」- -／- -／ɣ ɔɡ／ɡ raw／g ragw
・場所：現在の安徽省蚌埠市固鎮県
・地勢：淮河北岸、支流の険しい谷
・解釈評価：★★★★

◎縄文語：洨＝「コッ」＝「谷」

　縄文語解釈と地勢が完全一致しています。

⇒固鎮県の谷（googlemap）




■（沛郡）沛県
・時代：漢～
・上古音：「沛」pʰ wɑd／pʰ at／pʰ uɑd／pʰ war／ph adh
・場所：現在の江蘇省徐州市沛県
・地勢：微山湖の西岸。
・解釈評価：★★★★★

◎縄文語：沛＝「パン」＝「川下」

　微山湖の岸辺は「パン＝川下」の解釈で一致しています。




■（沛郡）芒県
・時代：漢～
・上古音：「芒」m i̯waŋ／m ǐwaŋ／m juaŋ／m jwaŋ／m jang
・上古音：「芒」m wɑŋ／m uaŋ／m uɑŋ／m waŋ／m ang
・場所：現在の河南省商丘市永城市
・地勢：微山湖西方の平原。
・解釈評価：★★★★★

◎縄文語：芒＝「メム」＝「泉」

　河南省商丘市永城市は「山のほとりの水辺」で解釈が一致しています。




■（沛郡）建成県
・時代：漢～
・上古音：「建」k i̯ăn／k ǐan／k jăn／k jan／k janh
・上古音：「成」ȡ i̯ĕŋ／ʑ ǐeŋ／ʑ jeŋ／d jieŋ／d jing
・場所：現在の河南省商丘市永城市
・地勢：微山湖西方の平原
・解釈評価：★★★★

◎縄文語：建成＝「キル・チゥェ」＝「山の・水流、水脈」

　河南省商丘市永城市は「山のほとりの水辺」で解釈が一致しています。




■（沛郡）建平県
・時代：漢～
・上古音：「建」k i̯ăn／k ǐan／k jăn／k jan／k janh
・上古音：「平」bʰ i̯ĕŋ／b ǐeŋ／bʰ jĕŋ／b ieŋ／b jing
・場所：現在の河南省商丘市永城市
・地勢：微山湖西方の平原。峰裾。
・解釈評価：★★★★

◎縄文語：建平＝「キル・ペー」＝「山の・水」

　河南省商丘市永城市は「山のほとりの水辺」で解釈が一致しています。




■（沛郡）酇県
・時代：漢～
・上古音：「酇」- -／- -／dzʰ uɑn／dz wan／dz uan
・上古音：「酇」ts wɑn／ts uan／ts uɑn／ts wan／ts uanx
・上古音：「酇」- -／ts an／ts ɑn／ts an／ts anh
・場所：現在の河南省商丘市永城市
・地勢：微山湖西方の平原。
・解釈評価：★★★★★

◎縄文語：酇＝「テュ・アゥ」＝「山の・枝分かれ」

　河南省商丘市永城市は「山のほとりの水辺」で解釈が一致しています。




■（沛郡）栗県
・時代：漢～
・上古音：「栗」l i̯ĕt／l ǐet／l jet／l iet／l jit
・場所：現在の河南省商丘市夏邑県
・地勢：微山湖西方の平原。
・解釈評価：★★

◎縄文語：栗＝「リッ」＝「筋」




　今回は豫州淮陽国（淮陽郡、陳国、陳郡）／魯国

【凡例】
・上古音： 高本漢系統／王力系統／董同龢系統／周法高系統／李方桂系統
　※それぞれ「聲母」「半角スペース」「韻母」と配置
　※該当する説が存在しないものには「-」を表記
〈参考〉漢字古今音資料庫（https://xiaoxue.iis.sinica.edu.tw/ccr/）

・解釈評価：★★★★★
◇周囲の地勢と対比可能な確度の高い解釈。
◇多くの近隣同一解釈。
※「パン＝川下」⇔「ペン＝川上」、「タン＝こちらの」⇔「近隣の同地勢」、「集中する湖沼の解釈」「集中する低い山の解釈」など。確実性の低いものは★4つ。

・解釈評価：★★★★
◇縄文語と上古音の発音と特徴的な地勢が一致する解釈。
◇隣接する県と辻褄の合う特徴的な地勢。
※「岩崖」「滝」「湖沼」など。

・解釈評価：★★★
◇縄文語と上古音の発音と一般的な地勢が一致する解釈。
◇特徴的な地勢と一致するが、発音があまり一致しない解釈。
◇他地域の同じ地勢と同一解釈が可能な解釈。
※特定の「川」「山」「低地」など、はっきりとどこを指したか分かるもの。

・解釈評価：★★
◇どこの地勢を指したかは不分明だが、無理なく縄文語（アイヌ語）解釈できるもの。

・解釈評価：★
◇縄文語解釈できないもの。不明なもの。

■■■　豫州　淮陽国（淮陽郡、陳国、陳郡）／魯国　■■■ ■（淮陽国、淮陽郡、陳国、陳郡）陳県
・時代：漢～
・上古音：「陳」dʰ i̯ĕn／d ǐen／dʰ jen／d ien／d rjinh
・場所：現在の河南省周口市淮陽区
・地勢：潁河流域の平原。
・解釈評価：★★★★

◎縄文語：陳＝「チゥ」＝「水流、水脈」

　周口市周辺は「窪地」関連の解釈で一致しています。




■（淮陽国、淮陽郡、陳国、陳郡）苦県
・時代：漢～
・上古音：「苦」kʰ o／kʰ a／kʰ ɑɡ／kʰ aɣ／kh agx
・場所：現在の河南省周口市鹿邑県
・地勢：微山湖南西の平原。
・解釈評価：★★★★★

◎縄文語：苦＝「コッ」＝「窪地、谷」

　周口市周辺は「窪地」関連の解釈で一致しています。

⇒鹿邑県の谷（googlemap）




■（淮陽国、淮陽郡、陳国、陳郡）陽夏県
・時代：漢～
・上古音：「陽」d i̯aŋ／ʎ ǐaŋ／d jaŋ／r iaŋ／r ang
・上古音：「夏」ɡʰ ɔ／ɣ ea／ɣ ăɡ／ɡ raɣ／g ragh
・場所：現在の河南省周口市太康県
・地勢：微山湖南西の平原
・解釈評価：★★★★★

◎縄文語：陽夏＝「ヤン・コッ」＝「陸岸にある・窪地」

　周口市周辺は「窪地」関連の解釈で一致しています。

⇒太康県（googlemap）




■（淮陽国、淮陽郡、陳国、陳郡）寧平県
・時代：漢～
・上古音：「寧」n ieŋ／n ieŋ／n ieŋ／- -／n ing
・上古音：「平」bʰ i̯ĕŋ／b ǐeŋ／bʰ jĕŋ／b ieŋ／b jing
・場所：現在の河南省周口市鄲城県
・地勢：微山湖南西の平原。
・解釈評価：★★★★

◎縄文語：寧平＝「ニン・ペー」＝「しみ込んだ・水」

　周口市周辺は「窪地」関連の解釈で一致しています。




■（淮陽国、淮陽郡、陳国、陳郡）扶溝県
・時代：漢～
・上古音：「扶」bʰ i̯wo／b ǐwa／bʰ juaɡ／b jew／b jag
・上古音：「扶」- -／- -／p juaɡ／p jwaɣ／p jag
・上古音：「溝」k u／k ɔ／k ûɡ／k ew／k ug
・場所：現在の河南省周口市扶溝県
・地勢：微山湖西方の平原。
・解釈評価：★★★★★

◎縄文語：扶溝＝「ペン・コッ」＝「川上の・窪地」

　周口市周辺は「窪地」関連の解釈で一致しています。
　隣接する扶楽県と同義です。極めて確度の高い縄文語解釈です。

◎縄文語：扶楽＝「ペン・ラケ」＝「川上の・低いところ」




■（淮陽国、淮陽郡、陳国、陳郡）固始県
・時代：漢～
・上古音：「固」k o／k a／k ɑɡ／k aɣ／k agh
・上古音：「始」ɕ i̯əɡ／ɕ ǐə／ɕ jəɡ／stʰ jiəɣ／sth jəgx
・場所：現在の河南省信陽市固始県
・地勢：淮河中流南岸の山裾。
・解釈評価：★★★

◎縄文語：固始＝「コッチャル」＝「谷の入口」




■（淮陽国、淮陽郡、陳国、陳郡）圉県
・時代：漢～
・上古音：「圉」ŋ i̯o／- -／ŋ jaɡ／ŋ jaɣ／ng jagx
・場所：現在の河南省開封市杞県
・地勢：淮河中流南岸の山裾。
・解釈評価：★★★★★

◎縄文語：圉＝「コッ」＝「窪地」

　縄文語解釈と地勢が完全に一致しています。開封市、商丘市西部の地名の多くは湖沼、岸辺などの水辺に類する解釈が可能です。




■（淮陽国、淮陽郡、陳国、陳郡）新平県
・時代：漢～
・上古音：「新」s i̯ĕn／s ǐen／s jen／s jien／s jin
・上古音：「平」bʰ i̯ĕŋ／b ǐeŋ／bʰ jĕŋ／b ieŋ／b jing
・場所：現在の河南省周口市淮陽区
・地勢：潁河流域の平原。
・解釈評価：★★★★★

◎縄文語：新平＝「シアン・ペー」＝「大きな・水」

　周口市周辺は「窪地」関連の解釈で一致しています。




■（淮陽国、淮陽郡、陳国、陳郡）柘県
・時代：漢～
・上古音：「柘」ȶ i̯aɡ／ȶ ia／ȶ jăɡ／t jiaɣ／t jiagh
・場所：現在の河南省商丘市柘城県
・地勢：微山湖西方の平原。
・解釈評価：★★★★★

◎縄文語：柘＝「トー・ケ」＝「湖沼の・ところ」

　開封市、商丘市西部の地名の多くは湖沼、岸辺などの水辺に類する解釈が可能です。

⇒柘城容湖芦苇
Qingwu Zhou (周庆武), CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons





■（淮陽国、淮陽郡、陳国、陳郡）扶楽県
・時代：後漢
・上古音：「扶」bʰ i̯wo／b ǐwa／bʰ juaɡ／b jew／b jag
・上古音：「扶」- -／- -／p juaɡ／p jwaɣ／p jag
・上古音：「樂」ŋl ŏk／ŋ eauk／ŋ ɔk／ŋ rawk／ng rakw
・上古音：「樂」ɡl ɔk／l auk／l ɔ̂k2／l awk／ngl akw
・場所：現在の河南省周口市太康県
・地勢：微山湖西方の平原
・解釈評価：★★★★★

◎縄文語：扶楽＝「ぺン・ラケ」＝「川上の・低いところ」

　周口市周辺は「窪地」関連の解釈で一致しています。
　隣接する扶溝県と同義です。極めて確度の高い縄文語解釈です。

◎縄文語：扶溝＝「ぺン・コッ」＝「川下の・窪地」




■（淮陽国、淮陽郡、陳国、陳郡）武平県
・時代：後漢
・上古音：「武」m i̯wo／m ǐwa／m juaɡ／m jwaɣ／m jagx
・上古音：「平」bʰ i̯ĕŋ／b ǐeŋ／bʰ jĕŋ／b ieŋ／b jing
・場所：現在の河南省周口市鹿邑県
・地勢：微山湖西方の平原
・解釈評価：★★★★

◎縄文語：武平＝「メム・ペー」＝「泉の・水」

　周口市周辺は「窪地」関連の解釈で一致しています。




■（淮陽国、淮陽郡、陳国、陳郡）長平県
・時代：後漢
・上古音：「長」t i̯aŋ／t ǐaŋ／t jaŋ／t iaŋ／t rjangx
・上古音：「長」dʰ i̯aŋ／d ǐaŋ／dʰ jaŋ／d iaŋ／d rjangh
・上古音：「平」bʰ i̯ĕŋ／b ǐeŋ／bʰ jĕŋ／b ieŋ／b jing
・場所：現在の河南省周口市西華県
・地勢：微山湖西方の平原
・解釈評価：★★★★

◎縄文語：長平＝「タン・ペー」＝「こちらの・水」

　周口市周辺は「窪地」関連の解釈で一致しています。

■（魯国）魯県
・時代：前漢
・上古音：「魯」l o／l a／l ɑɡ／l aɣ／l agx
・場所：現在の山東省済寧市曲阜市
・地勢：泗河沿岸の平地、山地
・解釈評価：★★★★

◎縄文語：魯＝「ラー」＝「低地」




■（魯国）卞県
・時代：前漢
・上古音：「卞」bʰ i̯an／b ǐan／bʰ juan／b iwan／b jianh
・場所：現在の山東省済寧市泗水県
・地勢：泗河上流の谷、山地。
・解釈評価：★★★★★

◎縄文語：卞＝「ペン」＝「川上」

縄文語解釈と地勢が完全に一致しています。隣接する南平陽県と同義です。また、微山湖沿岸の蕃県と対の関係になっています。また、微山湖の蕃県より南方の傅県、彭城県も「川下」と表現されています。微山湖周辺は、微山湖に近い場所が「川下」、遠ざかると「川上」と表現されています。

◎縄文語：平陽＝「ペン・ヤー」＝「川上の・岸」
◎縄文語：蕃＝「パン」＝「川下」
◎縄文語：彭城＝「パン・チゥ」＝「川下の・水脈、水流」
◎縄文語：傅＝「パン」＝「川下」




■（魯国）汶陽県
・時代：前漢
・上古音：「汶」 m i̯wən／m ǐwən／m juə̆n／m jwən／m jənh
・上古音：「陽」d i̯aŋ／ʎ ǐaŋ／d jaŋ／r iaŋ／r ang
・場所：現在の山東省泰安市寧陽県
・地勢：大汶河中流南岸の平地、山地。
・解釈評価：★★★★

◎縄文語：汶陽＝「メム・ヤー」＝「泉の・陸岸」

寧陽県周辺は、「低地」の解釈が可能です。
比定地を同じくする桃山県、寧陽県の解釈とも辻褄が合います。

◎縄文語：寧陽＝「ニン・ヤー」＝「水がしみこんだ・陸岸」
◎縄文語：桃山＝「タン・サ」＝「こちらの・浜」




■（魯国）蕃県
・時代：前漢
・上古音：「蕃」bʰ i̯wăn／b ǐwan／bʰ juăn／b jwan／b jan
・上古音：「蕃」p i̯wăn／p ǐwan／p juăn／p jwan／p jan
・場所：現在の山東省棗荘市滕州市
・地勢：微山湖岸の平地、山地。
・解釈評価：★★★★★

◎縄文語：蕃＝「パン」＝「川下」

北に接する山陽郡南平陽県、卞県と対の関係になっています。微山湖周辺は、微山湖に近い場所が「川下」、遠ざかると「川上」と表現されています。

◎縄文語：平陽＝「ペン・ヤー」＝「川上の・岸」
◎縄文語：卞＝「ペン」＝「川上」
◎縄文語：傅＝「パン」＝「川下」

■（魯国）騶県
・時代：前漢
・上古音：「騶」- -／tʃ ǐɔ／ts uɡ／ts iəw／ts rjug
・場所：現在の山東省済寧市鄒城市
・地勢：微山湖北東岸の平地、山地、山裾。
・解釈評価：★★★★

◎縄文語：騶＝「テュ」＝「峰」

 縄文語解釈と地勢が完全に一致しています。




■（魯国）薛県
・時代：前漢
・上古音：「薛」s i̯at／s ǐat／s jæt／s jiat／s jat
・場所：現在の山東省棗荘市滕州市
・地勢：大汶河中流南岸の平地、山地。
・解釈評価：★★★★

◎縄文語：薛＝「シテュ」＝「峰の走り根」

 縄文語解釈と地勢が完全に一致しています。